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令和8年8月の建築家コラムをお届けします。
まずは7月28日に発生しました「令和8年熊本地震」において被災された多くの皆さま方に対しお見舞いを申し上げます。 また毎日非常に蒸し暑い日が続きます。皆さまにおかれましては体調管理にお気を付けください。 さて、54回目のゲストは「梶浦 暁(カジウラ サトル)」さんです。 梶浦さんは、大学で建築を学ばれた後、大工見習いを経て建築設計事務所に勤務、2012年に梶浦暁建築設計事務所を設立されました。 現在は神奈川県藤沢市を拠点に全国でご活躍されています。 今回、梶浦さんからどんな「床」にまつわるお話が聞けるのかとても楽しみです。 それでは梶浦さんのコラムをお楽しみください。 梶浦暁建築設計事務所 http://www.kajiaa.jp
梶浦暁(かじうら さとる)建築家 / 滑♂Y暁建築設計事務所 代表取締役 経歴 1976 岐阜県生まれ 1999 東北大学工学部建築学科 卒業 2001 東北大学大学院都市建築学専攻 修了 2001-11 大工見習いを経て落合設計アソシエイツ ほか設計事務所勤務 2006-09 日本大学 非常勤講師 2012- 滑♂Y暁建築設計事務所 設立 現在に至る 2021-26 東海大学 非常勤講師 主な作品 東松認定こども園げんき、稲川まちづくりセンター、片瀬のひらいた家、菊水酒造二王子蔵・貯蔵棟・製品棟・あま酒棟・菊水スペース踊り・事務所棟・土蔵・KIKUSUI蔵GARDEN、蔵王中学校など 主な受賞 第30回日本建築学会北陸建築文化賞、JIA神奈川賞、第60回神奈川建築コンクール福祉アピール賞など 建築における床の意味と意匠 足裏の記憶 小学校3・4年生のとき、先生の教育方針で僕らのクラスだけが裸足でした。晴れの日も雨の日も学校敷地内は全て裸足。岐阜市立の小学校で、教室や廊下の床は塩ビ製タイルで気持ちがいいものではないなと常々感じていました。昇降口の磁器タイルの冷たさとアプローチのアスファルトの熱さ、グラウンドの砂利まじりの土の刺激、渡り廊下の土間コンクリートからスノコを経て木製の体育床へ至る歩行感の変化など、身体を支えるふたつの足裏と床が接触するたびに、素材感の情報がダイレクトに伝わってきました。算数からサッカーに至るまで裸足だったので、五感のなかでもとりわけ素足から学ぶ刺激的な学校生活で、帰宅すれば木の床と畳に触れては寛ぎを感じられる日々でした。 埼玉県東松山市にある「東松認定こども園げんき」は、老朽化した幼稚園を建て替えてこども園にする計画でした。設計をはじめる前に既存の園を視察した際、園児たちが裸足で園舎を、草履で園庭を元気に駆け回る姿に懐かしさを覚え嬉しい気持ちになりました。開園以来ぞうり履きで、元気に身体を動かせるこどもを育てる健康教育をされてきたそうです。
新たな園舎の設計は、大地と床を流れるように子どもたちが自由に駆け回るリズム、ザッザッ トントン ドタドタというシーンをイメージしながら取り組みました。どこからでも草履から裸足へのスムーズな移行ができるように園庭を囲むL型の長い縁側を介して各室を配置しました。
写真1:東松認定こども園げんき(撮影:齋部功)
園庭と床レベルをできる限り近づけて、床は無垢材にこだわり縁側はスギ、地流しはコンクリート、保育室はナラや畳敷、遊戯室は吉野スギとしました。
写真2:縁側のスギ(撮影:齋部功)
写真3:保育室のナラ(撮影:齋部功)
写真4:遊戯室の吉野スギ(撮影:齋部功)
草履の鼻緒を足指でしっかりとつかむ園児たちは、足裏感覚の発達も促されるので、大人になってもこの建築の記憶が足裏に残り続け、感性がより豊かになってくれればと願っております。
人は大地や床に身体を預けています。たまには裸足になって建築や街や自然の中を歩いてみると、地面や床材たちが僕らにいろいろなことをダイレクトに語りかけ、気づかせてくれるのかもしれません。
梶浦さん、ありがとうございました。 小学生の頃のクラスで裸足で過ごした経験が、その後のご自身の建築設計に活かされるというのは不思議な縁ですね。 「東松認定こども園げんき」では、裸足や草履で駆け回る場所の床の違いによって、様々な足音が響きあい、子供たちが賑やかに動き回っている情景が浮かんできます。 これからもますますのご活躍をお祈りしております。どうもありがとうございました。 |
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