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皆さんこんにちは。
令和5年も10月になりました。まだ日差しの強い日が続いておりますが、皆様にはお変わりなくお過ごしでしょうか。 さて、建築家コラム37回目のゲストは「高野 洋平(たかの ようへい)」さんです。 高野さんは愛知県名古屋市で生まれ、千葉大学大学院修了後、佐藤総合計画に約11年間勤務されました。2013年に、森田 祥子さんとMARU。architectureを設立されてからは、公共建築から住宅まで幅広くご活躍されています。 今回、高野さんからどんな「床」にまつわるお話が聞けるのかとても楽しみです。 それでは高野さんのコラムをお楽しみください。 ![]() 1979年愛知県生まれ 2003 千葉大学大学院修了 2003- 2013 佐藤総合計画 2013- MARU。architecture共同主宰 2013- 2016 千葉大学大学院工学研究科博士後期課程 博士(工学) 現在、高知工科大学特任教授、法政大学、京都大学非常勤講師 床が分けるもの/床がつなぐもの 高野洋平 床を地続きに まちとつながること 私達MARU。architectureの事務所は、メインのオフィススペースが1階にあり、まちと地続きになっている。 独立した当時は、10階にある自宅マンションの一室を事務所にしていたが、そのことによって、アルバイトの学生が軟禁状態になるような印象を持ち、これはいけないと考えて、事務所を移転する時に、1階を選ぶことにしたのである。 床は、人間が快適に暮らすために重用な存在である。しかし、床がどんどん積層していくことによって、人とまちの関係は当然ながら薄れていく。 自宅ではなくオフォスだから実現できる部分もあるが、私達の事務所は「地続きな床」を目指しているのである。 地続きな床は、当然ながら内外の関係を結びやすい。床が人間の環境を守ることを基本にしながら、バリアにならないことが重用だ。 写真:中村絵
写真:中村絵
床をずらす 空間をつなぐこと
そうはいっても、全ての建築が地続きだけでは成立しない。積層する床を考えることも当然必要である。現代建築の床は階で定義されることが一般的だが、私達はなるべくその関係をずらしていきたいと考えている。パンケーキのように積層された床は、階層毎の空間を均質にしがちだ。床の大きさやレベルを分解して、ずらしていくことで、空間同士の関係性をつくっていく。 松原市民松原図書館は、大きくは3層構成の建築だが、中間の床レベルを分解し、階段のつなぎ方に変化をつけることで、空間の中に流れをつくることを目指した。それは人の動きであると共に、風の動きでもあり、空間に動きをつくることで、地面から立体的に空間がつながる体験が生まれている。 写真:関拓弥
写真:関拓弥
床を親密に 場をつくること 床の関係をつくるとともに、床を場とすることも大切だ。断面的な関係に変化をつけると共に、ぞれぞれの床の平面に抑揚をつけることで、それぞれの床毎の性質を多様にし、空間の中に場所性を生み出す。 笹島高架下オフォスは、コロナ禍に計画した木造オフィスである。オフィスという場の価値があらためて問われる中で「一緒にいながらも、違う場があること」が重用だと考え、サイズの異なる床を、ずらしながら繋いでいった。一体空間でありながらも、場所毎に異なるワークスタイルが生まれている。 最近は床の素材に興味がある。素材は人間と床の関係をつくるインターフェイスだ。 写真:関拓弥
写真:関拓弥
床は、人と環境を分けるものでもあり、つなぐものでもある。その可能性を考えていきたい。 高野さん、ありがとうございました。 地続きになってまちにつながる床、積層された空間の中に流れをつくる床、空間の中に場所性を生み出す床、建築での床の構成が人と環境の様々な関係性を作り出している点に大変興味を覚えました。 これからもますますのご活躍をお祈りしております。どうもありがとうございました。 |
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