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みなさま、2019年も今日から2月に入りましたが、昨年につづき本年もどうぞよろしくお願いいたします。
本年度最初の建築家コラムですが第9回目のゲストは細海拓也一級建築士事務所代表の「細海 拓也(ほそかい たくや)」様です。 細海さんからはどのような「床」にまつわるお話が聞けるのでしょうか? 早速コラムをお楽しみください。 ![]() 建築家, 細海拓也一級建築士事務所代表 1980年 新潟県生まれ. 横浜国立大学卒業,同大学大学院修了後, OMA,BIG,ENSAMBLE STUDIO(文化庁新進芸術家海外派遣員)を経て, 現在,細海拓也一級建築士事務所. http://takuyahosokai.com 肖像写真:KAORI NISHIDA 建築写真:NAOMICHI SODE 建築における床の意味と意匠
人間のスケールを超越した大きなものから小さなもの(大地,海,土木,スラブ,テーブル,皿,紙,素材など)まで概念的なものとして床を考えている。建築とはさまざまな関係性を設計していくものであり,そのとき床は重要なエレメントである。 「新潟の集合住宅V」は,10階建の賃貸集合住宅である。敷地は昔ながらの長屋や家屋の町並みが残りつつも,近年建て替えが進んでいる地域である。この地域の歴史的な町並みの記憶の断片を継承し,未来に繋げていくアーカイブのような建築を設計した。
都市空間における建築の建ち現れ方として,周辺の人間的な長屋のスケールを残すことを考え,長屋を積み木のように積み上げる構成としている。このとき,長屋の基盤となるスラブは都市の中空に再生産された人工地盤であると考えている。人工地盤であるから純粋な矩形の平面形態で,土木を想起させるようなソリッドで無垢なコンクリート躯体で表現した。対して各階を構成する床スラブは,飛び出させたり,欠けたりさせながら自由な平面形態を持たせ,また光を吸収して影と同化する黒色とすることで,人工地盤の存在をより強調するものとしている。
「PLATE」は,1500坪という広大な森の中にある「地産地消」のレストランである。ここでは,この場所に来て行う活動を「地消」と捉え,その由来「地産」を想起させる器としての建築を考えた。
「地産」を想起させる建築として,森の中の窪んだ低いレベルに埋め込むようにプレートを挿入した。こうすることで来訪者のアイレベルを下げて,植物が萌芽する場であり,木々の根という生命の誕生の場である大地に自然と視線がいくようにした。訪れるたびに自然の変化を感じさせ,来訪者に地産を想起させる。
また「地消」の場として,森と建築のコントラストを上げて建築が持つ強さをだし,人々が集まり賑わいを持つ広場のような空間をつくることを考えた。そこで森という有機的で複雑化したものの中において,建築としてのプレートは人工的で単純化したものとした。それは正方形という強い形式を持った平面で,フラットな床で,化粧をせず装飾性のない単一の床仕上げ(基礎コンクリートをそのまま床仕上げ)で, 目地も見切りもない,方向性もスケールも消失させた分節のない床で表現している。 おおらかな空間を持つ「地産地消」の建築は,結婚式場となったり,地域の人が展示やコンサートなどイベントの出来るギャラリーホールになったり,それらの活動が混じり合って使われたり,計画時の意図を超えて多目的に活用されていて,新しい「地消」を育んでいる。 「新潟の集合住宅V」では,長屋の過去と現在の関係性を設計し,「PLATE」では,地産と地消の関係性を設計した。このとき床は人工地盤(土木)であったし,プレート(皿)であった.床とは,その設計される関係性に応じて,地球〜原料レベルでの一連のスケールにおいて,さまざまな役割を担うものだと思う。 細海さん、建築においてあらゆる関係性を設計する細海さんが「床」を重要なエレメントとしてとらえているというお話は、大変興味深く読ませていただきました。 私たちは建材を製造し皆様に提案していく立場ですが、仕事に関わる全ての人たちとの関係性を重視し日夜業務に邁進しております。 今後何かお役に立てそうなお話がありましたら、是非ご相談いただければ幸いです。 ますますのご活躍楽しみしております。 |
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