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建築家コラム 第22回ゲスト 「畑 友洋」 2021年04月1日 一覧へ戻る
 皆さんこんにちは。 令和3年も4月になりました。
 1月に発令された緊急事態宣言は3月21日に解除されましたが、解除後も新型コロナウイルス感染者数は少しずつ増えておりますので、引き続き気を緩めずに行動されることが大事です。

 さて、今回で22回目となる建築家コラムのゲストは「 畑 友洋 (はたともひろ)」さんです。
畑さんは、兵庫県でお生まれになり、京都大学をご卒業後、高松伸建築設計事務所(京都市)に勤務され、2005年に畑友洋建築設計事務所を設立されました。現在は神戸市を拠点にご活躍されていらっしゃる建築家です。

今回、畑さんからどんな「床」にまつわるお話が聞けるのかとても楽しみです。
それでは畑さんのコラムをお楽しみください。
 ■建築家コラム 第22回ゲスト 「畑 友洋」 拡大写真 

1978兵庫県生まれ
2001京都大学工学部建築学科卒業
2003京都大学大学院工学研究科修了
2003-04高松伸建築設計事務所勤務
2005畑友洋建築設計事務所設立
神戸芸術工科大学准教授
京都大学、大阪市立大学非常勤講師

2015第3回 京都建築賞 優秀賞
2016第60回大阪建築コンクール 渡辺節賞
2017日本建築学会作品選集新人賞
2017三宮プラッツ整備委託業務プロポーザル最優秀賞
                             2018日本建築設計学会賞
                             2020JR灘駅前広場(南北)設計業務公募型プロポーザル
                             最優秀賞(E-DESIGN,モビリティデザイン工房とJV)他等
大地を積層する建築

建築が床となって大地から離れ、地に足の着いた生態系から遠ざかっていくことに素朴な疑問を感じている。それは豊かなのだろうか。室内にいくら植物を飾ってみても、それらが招き入れる動植物の系、つまり生態系と切り離された存在であり、表層的な装飾のようにしか思えない。このような素朴な問いから、大地そのものを複層化するような建築ができないだろうかと考えるようになった。
大地にスラブを積層した建築を置くのではなく、大地そのものを複層化させるイメージである。
 ■建築家コラム 第22回ゲスト 「畑 友洋」 拡大写真 

そこでは、光や風、周辺の環境や機能に応じて自由な形態となって現れる大地が積み重なり、内部空間はどの層にあっても生態系との関係の中で柔らかく変化できる仕組みを備えていたほうがいい。大地の上で、割と自由に長い時間の中で、生態系の成長と生活に応じて増改築を行い、その都度微調整できることが自然であると考えたからである。すべての大地の層には外部環境が定着し、成長し続けることで、人間の生活が生態系の中にある建築のありようを描いてみた。
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複層化させる大地の形態は、通りの並木や庭の樹木の成長を想定した気積を避けてカーブし、風と光が隅々にまで適切にいきわたり、生態系の定着を実現させるため、環境工学の視点からもたらされた有機的な地形である。
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このような建築を実現させるために、自然界の樹木に見られる立体分岐する枝の仕組みを構造システム化し、層間のずれに追随する折れ枝のような柱で支える仕組みを採用した。
この折れ枝のような鋼管は、傾きながら分岐、合流を繰り返し、複雑な形状の地形の複層化に追随できることが大きな特徴である。
同時に、傾いた鋼管が山形(逆V字)に接合することで水平力をすべて負担させることが可能となり、構造壁が不要な自由な大地を実現することができる。
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この折れ枝の鋼管はパイプスペースでもあり、各層における大地の上に配置された内部空間の配置を自由に更新可能なものとし、生態系とともに成長、変化し続ける都市生活の場が生み出せたのではないかと考えている。
このような建築の考えを、高層化した建築のイメージに拡張してみたとき、生態系を定着させながら成長し、人間の生活が生態系の中にある自然なありようが、都市の風景を更新していくような可能性をみることができないだろうか。
 ■建築家コラム 第22回ゲスト 「畑 友洋」 拡大写真 

畑さん、ありがとうございました。

コラムで取り上げられている建築は、地面が樹木の成長とともに持ち上げられていくような印象を受けました。
大地から切り離された建築に生態系を取り込むことで、そこに住む人の生活も生態系が意識された豊かなものになる可能性を感じました。

これからもますますのご活躍をお祈りしております。
どうもありがとうございました。
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